【育成講座】第二章 伴走型事業承継コンサルタントの役割・業務内容
未来を担う後継者と経営者を支援する
伴走型事業承継コンサルタントの育成講座
事業承継において、後継者や経営者が直面する様々な課題や問題を解決するために、専門的な知識や経験を持った伴走型コンサルタントの存在は欠かせません。しかし、現在はこの分野におけるコンサルタントの人材不足が問題となっています。そこで、未来を担う育成者たちが伴走型コンサルタントとして活躍できるよう、この育成講座を開催いたします。
育成講座の内容の紹介:
- 事業承継における基礎知識
- 伴走型事業承継コンサルタントの役割・業務内容
- 後継者の選定と育成方法
- 経営者と後継者の意思疎通の方法
- 事業承継の計画策定方法
- 財務・税務対策の考え方
- DXを活用した事業承継の取り組み
- まとめ
第二章 伴走型事業承継コンサルタントの役割・業務内容
伴走型事業承継コンサルタントの役割・業務内容については以下の項目が挙げられます:
- 相談者の状況把握:事業承継に関する相談者の状況を詳しくヒアリングし、事業の状況や課題、現状のオーナーの意向などを把握します。
- 次世代経営者の評価:営者の能力や意欲を評価し、適任者を選定します。また、必要に応じて後継者育成プログラムを提供することもあります。
- 事業承継プランの策定:相談者の要望や事業の状況に基づき、事業承継プランを策定します。この際には、税務・法務面の対策を含めた総合的なアドバイスが必要となります。
- 相続税対策のアドバイス:相続税対策のアドバイスを提供し、相続税負担を軽減するための方法を検討します。具体的な方法としては、贈与や信託、保険契約の活用などが挙げられます。
- 事業評価の支援:事業の評価を行い、事業譲渡価格の算出や資金調達のアドバイスを提供します。
- マーケティング戦略の策定:次世代経営者と共にマーケティング戦略を策定し、事業の発展を支援します。
- その他の支援:事業承継に関する法律や税制についてのアドバイスや、金融機関との交渉支援など、その他の支援も行います。
1.相談者の状況把握
伴走型事業承継コンサルタントの役割の一つに、相談者の状況把握があります。この役割は、事業承継に関する相談者の状況を詳しくヒアリングし、事業の状況や課題、現状のオーナーの意向などを把握することが目的です。
相談者の状況把握は、事業承継において非常に重要な作業です。なぜなら、事業承継はその企業にとっての最重要課題であり、その取り組み方は企業ごとに異なるため、相談者の状況を正確に把握しなければ、適切なアドバイスができません。
具体的には、相談者から事業の歴史や現状、問題点、オーナーの意向や将来のビジョンなどをヒアリングし、事業承継の視点から問題点を洗い出し、解決策を提案します。また、相談者の希望や目的に合わせて、適切な支援を提供することも役割の一つです。
相談者の状況把握は、単に情報を集めるだけではなく、相談者との信頼関係を構築することも重要です。相談者が自分の思いや考えを自由に話せるような環境を整え、相談者の本音を引き出すことが大切です。
以上のように、伴走型事業承継コンサルタントの役割の一つである相談者の状況把握は、事業承継において重要な役割であり、相談者との信頼関係を構築するためにも、丁寧なヒアリングとアドバイスが必要です。
2.次世代経営者の評価
事業承継において、後継者の選定は非常に重要なプロセスです。伴走型事業承継コンサルタントは、相談者から得られる情報や自らの調査などを通じて、次世代経営者として適任者を選定します。具体的には、次のような評価項目を考慮します。
・スキルや能力:後継者が事業を引き継ぐ上で必要なスキルや能力があるかどうか、またそれらをどの程度持っているかを評価します。たとえば、経営戦略の策定や財務・税務の知識、マネジメント能力、人材育成能力などが挙げられます。
・意欲やモチベーション:後継者として事業を継承する意欲や、事業に対する熱意、自己実現や社会貢献の意識など、内面的な要素も重視されます。
・キャリアプラン:後継者がどのようなキャリアプランを持っているか、将来どのような方向性を持っているかを考慮します。将来的に事業を拡大することが必要な場合、そのための能力や意欲があるかどうかも評価対象となります。
選定された適任者に対しては、必要に応じて後継者育成プログラムを提供することもあります。このプログラムには、経営戦略や財務・税務の基礎知識の習得、マネジメント能力の向上、コミュニケーション能力の強化などが含まれます。このように、伴走型事業承継コンサルタントは、後継者の育成にも積極的に関与することが求められます。
3.事業承継プランの策定
事業承継プランの策定は、相談者の要望や事業の状況に基づき、将来的な事業の継続や発展を見据えたプランを作成することを指します。このプランは、事業の状況分析や経営戦略の検討、後継者育成計画の策定などを行うことで作成されます。
また、事業承継プラン策定には、税務・法務面の対策を含めた総合的なアドバイスが必要となります。税務面では、相続税や贈与税の節税対策や、法務面では、社内規定の整備や株主間の協定の締結など、法的な手続きを含めたアドバイスが必要となります。これらのアドバイスは、専門家との協力が必要となります。
4.相続税対策のアドバイス
相続税は、財産を相続した場合にかかる税金であり、承継時には重要な問題となります。伴走型事業承継コンサルタントは、相続税対策のアドバイスを行い、相続税負担を軽減する方法を提案します。具体的には、贈与や信託、保険契約などを活用した方法があります。
贈与は、生前に一定の財産を子供や孫などに譲渡することです。相続税の対象となる財産を減らし、また、贈与税という税金がかかりますが、贈与税の税率は相続税の税率よりも低いため、相続時の負担を軽減することができます。
信託は、財産を信託財産として信託に移し、信託契約に基づいて受益者に分配する方法です。信託によって、財産を分散させることができ、相続時の税負担を軽減することができます。また、信託によって、後継者に財産を引き継ぐ際に、財産の管理や運用についても安心できます。
保険契約は、保険料を支払って保険金を受け取ることにより、相続税負担を軽減する方法です。保険金は相続税の対象とならないため、相続時の税負担を軽減することができます。
伴走型事業承継コンサルタントは、これらの方法を適切に活用し、相続税負担を軽減するためのアドバイスを提供します。
5.事業評価の支援
事業評価は、事業承継において重要な役割を担います。事業の価値を正確に評価することで、事業譲渡価格を算出したり、資金調達の際の交渉材料とすることができます。
伴走型事業承継コンサルタントは、事業評価について専門知識を持っており、相談者に対して事業評価の支援を行います。事業評価には、直接比較法、収益還元法、ディスカウントキャッシュフロー法などの手法がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。伴走型事業承継コンサルタントは、事業の特性に応じて最適な手法を選定し、正確な事業評価を行います。
また、事業譲渡価格を算出するだけでなく、相談者の資金調達のアドバイスも提供します。事業譲渡には多額の資金が必要となる場合がありますが、伴走型事業承継コンサルタントは、資金調達に関するアドバイスを提供することで、相談者の負担を軽減します。具体的には、金融機関との交渉の支援や、債務・資本調達の方法などを提案します。
6.マーケティング戦略の策定
事業承継後の事業継続のためには、次世代経営者が適切なマーケティング戦略を策定することが重要です。伴走型事業承継コンサルタントは、次世代経営者とともに、市場分析や競合分析、商品やサービスの開発などを含めたマーケティング戦略の策定を支援します。また、インターネットを活用した販売促進やブランディングの方法など、最新のマーケティング手法についてもアドバイスを提供します。マーケティング戦略の策定は、事業承継後の事業継続のために不可欠な要素であり、伴走型事業承継コンサルタントが支援することで、事業の発展を促進します。
7.その他の支援
伴走型事業承継コンサルタントは、事業承継に関する様々な問題に対して支援を提供します。その中には、法律や税制に関するアドバイスや金融機関との交渉支援、不動産や設備などの資産の処分支援なども含まれます。また、事業承継に関する諸問題について相談者とのコミュニケーションを密に取り、問題解決に向けたアドバイスや提言を行います。
また、伴走型事業承継コンサルタントは、相談者の事業や現状の把握、次世代経営者の評価、事業承継プランの策定、相続税対策のアドバイス、事業評価の支援、マーケティング戦略の策定といった一連の業務を通じて、相談者の事業承継における課題解決や事業の継続発展を支援します。
まとめ
今回の伴走型事業承継コンサルタントの役割・業務内容について解説してきました。まず、相談者の状況を把握し、次世代経営者の評価や事業承継プランの策定、相続税対策のアドバイス、事業評価の支援、マーケティング戦略の策定など、様々な業務を行います。また、法律や税制についてのアドバイスや金融機関との交渉支援など、その他の支援も行います。事業承継は、企業にとって重要なテーマであり、適切なアドバイスや支援が必要です。伴走型事業承継コンサルタントは、そのような支援を提供し、事業承継を成功に導くことが期待されています。
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